
役立ち情報を記載
設計コンサルタントの選び方
―修繕工事等における発注適正化―
マンションの建物の管理を行ううえで、大規模修繕工事の適切な実施は必要不可欠です。そして、管理組合の皆さまの大切な資金である修繕積立金を使って修繕工事を行う上で、
良質な工事をベストプライスで発注することは極めて大切なことです。しかし、その支援を行う「設計コンサルタント」に不正があればどうなるでしょうか。お金はなくなります。
不適切コンサルタントの問題は、①割高な工事費②過剰な工事内容③不明朗な工事発注④甘い工事監理から、工事費を修繕積立金だけでは賄いきれず、不足する資金の借り入れを含め、
大きな問題が発生します。皆さまの大切なお金は皆さまで守るべく、この問題に真剣に取り組んでいく必要があります。
私はこの問題について、市が開催するセミナー等で、管理組合の役員の方々にお話ししてきました。その抜粋を紹介いたします。以下の説明をごらんください。
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【第一章 不適切コンサル問題とその対応】
□修繕工事等における不適切コンサルとは
格安で業務を請け負うものの、施工会社から得るリベート(見返り)を工事費に上乗せするため、結果的に住民は余計な支払いを負担させられる。
コンサルは格安な費用(相場の半値程度)で、管理組合から業務を請け負うものの、施工会社から得るリベートを工事費に上乗せするため、結果的に住民は多額な支払いを負担させられるというものです。
□この問題は、2016年秋ごろから徐々に管理組合にも知られるようになり、社会問題化してきました。
この後、国交省が問題を認識して、2017年1月には不適切コンサルによる被害防止のため、相談窓口を指定し、日本マンション管理士会連合会にも協力を求めてきました。
□修繕工事等に関わるコンサル業務とは
①調査診断を行ない、劣化状況を調べる。
②修繕計画を立て、設計図書を作成する。
③施工会社の選定協力を行う。
④工事監理を行う。
□適切なコンサルタントとは
①独立した専業の設計事務所がある。
②主要業務はマンションの維持管理である。
③代表者は一級建築士
④担当者の経験実績が豊富である。
□好ましくないコンサルタントとは
①名ばかりの設計事務所である。
②リピータの実績が極端に少ない。
③過剰な営業活動を行う。
④不要な調査項目がある。
□コンサルタント選定のポイント→誤解している選定の条件と方法
①組織としての規模を比較する。
②経済的な営業実績を比較する。
③マンションの維持・保全に関係がない内容や実績を求める。
④的外れな選考資料を請求する。
□コンサルタント選定のポイント→望ましい選定方法
①基本要件を定める。
②依頼内容または課題を整理する。
③選考基準を定める。
④リストアップして選考する。
【第二章 不適切コンサルの防止対策】
□不適切コンサルにあわないためには
①設計事務所を選ぶときには、見積金額や会社規模だけで選ばない。
②国交省による「実態調査」のデータを活用する。
③設計事務所以外に、信頼できるパートナーを起用する。
□国交省による実態調査の実施
〔調査のポイント〕
・工事内訳に過剰な工事項目・仕様の設定等がないか。
・戸あたり、床面積あたりの工事金額が割高になっていないか。
・設計コンサルタントの業務量(人・時間)が著しく低く抑えられていないか。
・特に業務量のウェートの多くを占める工事監理の業務量が低すぎないか。
□大規模修繕工事金額について
・戸あたり75万円~100万円が30.6%、100万円~125万円が24.7%
・㎡あたり10,000円~15,000円が41.1%、5,000円~10,000円が31.8%としています。
ただし、この金額は直接工事費のみで、共通仮設費、現場管理費、一般管理費、消費税額は含んでおらず、これらを入れると、戸当り100万円~120万円位になると考えてよいと思います。
□設計コンサル内訳タント業務の業務内訳・業務量について
・業務内訳では、調査・診断が15.2%、設計31,8%、施工会社選定への協力8.1%、工事監理40.3%となっています。
□マンション管理士の活用
マンションの管理は専門的な知識を必要とすることとが多いため、マンション管理士を活用することも有効な対策です。
この最大の特徴は、100%組合側の立場で支援できるということです。
〔委託するメリット〕
・設計監理や施工会社とは利害関係を持たない第三者である。
・技術的な知識よりも、管理組合運営に関する知識や経験を持っている。
・管理組合の立場に立って、物事を判断できる。
□マンション管理士による大規模修繕工事の流れと支援の範囲
・設計監理サポートフェーズ
・施工会社選定サポートフェーズ
□マンション管理士による大規模修繕工事におけるコンサルタント業務とは
①専門委員会の設立サポートを行う。
②設計者選定及び設計図書の作成サポートを行う。
③施工会社選定のサポートを行う。
④総会運営のサポートを行なう。